日本の食文化 - 日本酒

3. 日本酒に欠かせない水とお米のお話

日本酒の原材料は、おもに水とお米と麹。内容量の約80%が水でできているという日本酒は、その醸造工程においても大量の水を必要とします。京都・伏見や兵庫・灘五郷など、良質な地下水や豊富な湧き水に恵まれた地域は、日本有数の酒どころとしてその名を知られるようになりました。

水質によって味の仕上がりが異なり、地域や蔵元ごとに特長の違いがあるのも、日本酒の奥深さといえるでしょう。水はカルシウムとマグネシウムの含有量を表した「硬度」によって区別されていますが、日本の水はおもに100mg/未満の軟水です。これは、一般的な基準に照らし合わせた時の分類ですが、実は日本酒造りにおいては、もう少し細かい数値による硬度のすみ分けがあるのです。

軟水の中でも、比較的ミネラル成分を多く含む地域では、硬度が少し高めで、その水を使用して造られたに日本酒はキレのある味に仕上がり、まろやかな軟水で造られたものは飲み口がやわらかくなるのだそう。

また、お米も日本酒造りには欠かせません。お米は日本人にとっては主食となる穀物ですが、主食用のお米と日本酒造りに用いられるお米は同じではありません。お米に含まれるタンパク質や脂質などの栄養素は、日本酒を造る工程で雑味が発生する原因になるために敬遠されます。そのため、食べておいしいお米と日本酒にしておいしいお米は、味が異なります。

近年は日本酒に適した「酒米」の研究・開発も進み、今では100種類程度の酒米が生産され、人気の銘柄も登場しています。全国的にその名を知られた有名品種の酒米は高値で取引され、そのお米で造った日本酒も高級商品として流通していますが、若い世代や女性、外国人の日本酒ファンが増えるにつれ、その地域ならではの「ご当地米」を用いて造られる希少な日本酒にも注目が集まるようになってきました。

全国各地には、個性豊かな日本酒がたくさんあります。地域の名物料理とともに、その地の気候風土が育んだ日本酒を味わいながら、お気に入りの銘柄をぜひ見つけてみてはいかがでしょうか?

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